第10章 温泉旅行へ*出立準備編*
出発前日の夜。
明日は早朝から出発だから、全員が前日から城に集まってる。
「明日出立だな、準備はしたか?桜」
夕食のために集まった広間で、隣に座った政宗が声を掛けてきた。
「うん、ある程度は終わったよ。どんなところなのか楽しみ」
「はしゃぎすぎ。眠れなくて熱とか出さないようにしなよ」
逆隣から、家康がおかずに唐辛子をバサバサ振りかけながら口を挟んできた。
確かに、何日か前から楽しみで、そわそわしてたのは確かだけど…って、家康まだかけるの?
「おい!お前の分はもう辛くしてあるからそんなにかけるな!味分かるのか?」
「少し足りないだけです。人を味覚音痴みたいに言わないで下さい」
「少しじゃないだろ」
政宗の気持ちもよく分かる。だってもう真っ赤だもん、おかずが何か見えないくらい。
「政宗、今日もとっても美味しいよ」
呆然と眺めている政宗が気の毒で、慰めるつもりで褒めたら、いつもの余裕ある笑みが帰ってきた。
「そうだろ?嫁に来るか」
「あはは」
会うたびにこういうこと言って、飽きないのかな?
政宗の冗談を受け流して、煮物の椀を手に取る。
「待て桜!!」
「ん?~~~~~っ?!!」
正面の秀吉さんが焦ってる。どうしたんだろ…。
何も考えずに煮物を口にして、思わず口を押えた。
何コレ!?辛い!というか、痛い!!