第23章 温泉旅行へ*信長エンド*
「おらぁっ」
「ぎゃあっ」
威勢よく斬りかかって来た男の太刀を易々と受け止めて、その隙に脇から襲い掛かって来た別の男と一緒くたに斬り伏せた。
一人ずつの実力は大したことはない。だが、道が狭い上に人数が多く、やっとのことで橋のたもとまでたどり着いた時には、秀吉は苛立っていた。
「あー…やっと着いた」
「全く、キリがないな」
飄々と刀を振っていた光秀が、橋の向こうを見る。
「既に何人か渡ってしまっているようだが…まああれくらいならば問題はあるまい」
「だが、後はここで食い止める」
眉を吊り上げて、橋に背を向けて刀をひゅっと振る秀吉と正反対の方向を見て、光秀はニヤリと笑う。
「それもいいが…確実な方法がある」
「…なんだ」
「守る物を減らすことだ」
刀を逆手に持つと、光秀は橋を支える蔓に突き立てた。ぽかんと口を開けた秀吉の見ている前で、支えを失った吊り橋がゆっくりと、落ちた。
「なっ…おまえ…っ」
「大丈夫だ、何とかなる」
「ならないでたまるかっ」
二人の周りを、十人ほどの野盗が取り囲んだ。守る必要のなくなった橋から下がった光秀の背に、とんと秀吉の背が触れる。
「まさかお前とこうして戦う日が来るとはな」
「感激してるとこ悪いが、さっさと片付けて信長様と桜を迎えに行くぞ」
誰を相手にしているのかを未だ分かっていない野盗が、次々に下品な言葉を叫び笑う。
秀吉は不快そうに眉を寄せて。光秀は余裕ある笑みを口許に浮かべて。二人は同時に言い放つ。
「「来い」」