• テキストサイズ

【イケメン戦国】紫陽花物語

第21章 温泉旅行へ*三成エンド*





「桜様。このまま…聞いて頂けますか」

「…う、ん」



自分の腕の中にいる桜は、なんて軽いのだろう。それに、小さくて、柔らかくて。



「今からもう一度あなたに…想いを伝えます」

「もう一度…」



三成の言葉を、桜が噛み締めるように復唱する。前に言った、隣にいるのが私でなくとも構わない、と。しかし。



「桜様への想いに気付いてから、他に何も考えられないほど、頭の中が桜様ばかりで…困っています」



ゆっくりと頭を上げて、自分の顔を見る桜に笑って、三成はその髪を撫でる。



「こんな経験は…初めてなんです。これが恋…というものだとするならば…終わらなければいいと、願わずにはいられません」



そして傲慢にも、桜の隣にいるのが自分であればいいと思う。恋、というものは、心の中で勝手に大きくなっていくものらしい。

自覚してしまったが最後、桜への熱い想いは留まらず、加速して三成の心を侵食していった。笑顔を思い出すだけで、心は苦しく暴れ出すのに、それをもっとと求める自分がいる。



「桜様、私のお側にずっと…いて下さいませんか。私がこうして…あなたを腕の中に抱きしめられる距離にいて、下さい」



願わくば、これを最初で最後の恋に。



「本当に…私で、いいの?」

「桜様が、いいんです」

「じゃあ…」



お願いします、と照れた顔で笑う桜。その姿は、目がくらむほど美しく見えた。

桜の返事を聞いた途端、自分の心臓がうるさく音を立て始めるのに驚く。顔も体も熱くなって、息をするのもままならない。

しかし、桜を離すのはどうしても嫌だ。ぎゅっと身体を抱くと、心臓はさらに大きな音を鳴らす。



「すみません…桜様」

「ん…?」

「私は桜様の事が、好きすぎて好きすぎて…堪らないみたいです」



苦笑しながらそう言うと、桜の耳が赤くなる。三成の腰に桜の手がまわり、きゅっと着物を掴むその仕草が可愛い。


/ 399ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp