第20章 温泉旅行へ*秀吉エンド*R15
…違う。
ぼうっとする頭が、勝手に思考を始める。
私の頭をいつも撫でてくれるあの人の手は、こんなに細くない。でも、それだけじゃない。秀吉さんの手は温かくて、優しくて、心地いいの。
…嫌だ。
私に触れる手は、あの人の手じゃないと、嫌。
布団をはがれて、すっと空気が体に当たる。少しはだけた着物の裾から見える桜の足を見て、吉次がごくりと生唾を飲む。
ぞっとする。
「いや…離して…!」
「桜様、美しい…」
もう桜の声など、聞こえていないようだ。蹴飛ばそうと動かす足を掴まれて、足首から焦らすように撫でていく、手。
同時に、もう一方の手が、桜の着物の合わせ目を強引にはだけさせる。肩まで露になったそこに、吉次は舌を這わせていく。
「……ッう…!」
喘ぎ声など出してやるものかと、桜は必死に唇を噛む。ぞわぞわと鳥肌がたつ。悲鳴をあげるだけでは、ただ興奮を煽ってしまう。
足首からふくらはぎ、膝へと、撫でる手は上がってくる。膝裏に差し込まれた腕によって足が抱えられ、既に着物は太ももの付け根に近いところまではだけてしまった。
するすると、太ももを味わうように触れる生ぬるい感触。さらに、首筋に吸い付く唇。我慢していたはずの声が、口から漏れ出す。
「…や…いやっ!!」
暴れる桜を鬱陶しそうに見て、吉次は首筋に噛みついてくる。歯形が付くのではないかと思うほどの力。
「いッ…!」
痛みに顔が歪み、涙がさらにあふれ出る。どれだけ暴れても、叫んでも。逃れられない状況に絶望を覚えて、悔しさに涙が大粒のものに変わる。
「うっ…ふ…」
嗚咽しながら、桜の脳裏に浮かぶのは、秀吉の笑顔。