第18章 温泉旅行へ*政宗エンド*
「桜!!」
「桜様!」
複数の足音と共に、桜を呼ぶ声がする。政宗は、桜に触れようとしていた手を止めざるを得ない。
崖下を見降ろせば、秀吉と三成が二人を見上げている。政宗は内心舌打ちをしながら、桜を抱きかかえて立ち上がった。
「わ…」
「下りるからな、捕まってろよ」
「うん、ありがとう」
安心しきった顔でいる桜を、間違っても落としたりしないよう。それに、痛いはずの腹に刺激がいかないよう。気遣いながら崖下までたどり着くと、秀吉達が駆け寄ってきた。
「桜様、ご無事ですか」
「桜…ほんとに良かった…」
「大丈夫だよ三成君、秀吉さん。ありがとう」
「無事ならそれでいい。それにしてもお前、泥だらけだな…」
桜の手を握りしめ、安堵から普段の笑みが一層輝く三成と、桜の着物の汚れを払う秀吉の姿に、政宗の眉間に皺が寄る。
「おい、桜」
「なに… ん…っ!」
政宗を振り返った桜の腰を強く引き寄せ、秀吉達から引き離すと、そのまま顎をつかんで口づけた。本当は甘い雰囲気の中で味わいたかったけれど、仕方ない。
誰にでも無防備な、こいつが悪い…。
「ん…ぅ…!」
咄嗟の事に目を見開き、抵抗しようとする桜の後頭部を捕まえて、さらに深く求める。
苦しさから政宗の着物にしがみつく桜が可愛くて、堪らない。時が止まったように、唖然と見つめてくる秀吉達に見せつけてやる。