第18章 温泉旅行へ*政宗エンド*
獲物を狩るような鋭い政宗の目線。でもどこか優しさを含んだその眼から、逃げることができない。
桜の心は、確かに決まりつつあった。
ニヤリと笑いながら、桜を本気なのかどうか分からない態度で口説いてくるくせに、何かあれば真摯に気遣ってくれる。
本当に桜が嫌がるようなことはしないし、今こうして無理矢理にみえるのも、きっと想いがばれているのだろう。
気絶していて覚えていないことが腹立たしい。かっこよく助けてくれたに違いないのに。そんなことを思う自分は、きっともう政宗に心を持っていかれている。
それに、政宗の横にいれば、きっとこの先も笑っていられる。
「桜…」
見つめ合ったまま黙っている桜を、ぎゅっと腕の中に抱きしめる政宗。その声は、少しだけ不安げだ。いつも余裕たっぷりなのに、可愛いと思ってしまう。
「…お前が好きって言うまで、放さねえ」
「うん……好き」
一瞬の間があって、政宗ががばりと体を離した。ぽかんとした顔をして、桜を見返す。
「…は」
「だから…政宗が、好き…」
勇気を振り絞り二回目の告白をして、それで限界だった。桜は、熱が集まりすぎた顔を両手で隠すように覆うと、今度こそ俯いた。
「桜」
政宗に手首をつかまれ、顔から引きはがされそうになるのを、いやいやと首を振って意思表示する。
「桜…顔、見せろ」
「や…」
両手を引き寄せられて、桜の赤い顔が政宗の前に露わになった。熱のこもった瞳で桜を見つめる政宗の顔も、うっすらと、赤い。