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【イケメン幕末】春を呼ぶ嵐のように(R18)

第2章 名前を呼んで(篠宮END)


仕込みを早々に終わらせたは、流し台に残った洗い物を済ませようと水を流す。

「先輩、あとは何?」

客席の片づけをしてくれていた恭が戻ってきて、の手元をのぞき込みながら尋ねてくる。

「もうこれ洗っちゃえば終わりだから、篠宮くんは戻ってもいいよ?」

「それなら、待ってる。…そういえばさ…」

「なぁに?」

「先輩、さっき屯所で何の話してたの?」

恭がふきんで、洗い終わった皿をふきながら尋ねる。

「仕事を手伝ってくれっていわれたよ」

「…仕事?」

ぴくりと恭が反応して、続きを促すようにを見てくる。

「うん、なんか不穏な噂があって、それを確かめたいけど男だけじゃ目立つから、一緒に来てくれないかって」

「ふうん…あれか…」

合点が行ったようにぽつりと呟くと、持っていた皿を背後にある棚にしまう。

「先輩、それOKしたの?」

「一応…でも、具体的な話になる前に篠宮くんが来たから…」

皿を洗う手はそのままに、の後ろから聞こえる恭の声に返事をすれば。
恭の腕が背後からを包んで、ぎゅっと抱きしめられた。突然の恭の行動に、びくりとする。

「っ…どうしたの…?」

「それ…断ってよ」

恭がの耳元で囁くように話す。
恭の吐息がの耳朶をくすぐって。

いつの間にか皿を洗う手も止まってしまっていて、
流れる水の音と、ドキドキとうるさい自身の心臓の音だけが聞こえる。
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