第2章 名前を呼んで(篠宮END)
バタバタと慌ただしい足音が聞こえたかと思うと、
恭が息を切らして走ってきた。
恭「あぁ、先輩!やっぱりここにいた」
「篠宮くん、どうしたの?そんなに慌てて…」
恭「四季がなんか知らねぇけど急に忙しくなって…とにかく俺だけじゃ無理だから、早く!!」
「えっ、大変!ごめんなさい皆さん、私戻ります!」
土方「お、おう…」
見送る言葉をかける暇もなく、は恭に引っ張られ屯所を出て行った。
「大丈夫?先輩」
「はぁ、はぁ…うん、平気」
屯所を出て少しすると、恭が立ち止まって肩で息をしているを気遣う。
「それより、早く戻らなくちゃ…」
「あ、それ嘘」
「…え?」
「暇で仕方なかったから、店閉めて来たんだ。そしたら、先輩が困ってそうだったから、一芝居うってみた」
そういうと、恭はいたずらっぽく笑った。
その顔をみて、もつい笑ってしまう。
「ありがと、篠宮くん」
「…っ…うん」
にお礼を言われて、恭は照れ臭そうに頬をかく。
そのまま二人で四季に戻ると、篠宮の言っていた通り、暖簾がはずされ店内は薄暗かった。
「ふふ、たまには早く閉めちゃうのも悪くないね」
「だろ?たまには、先輩もサボっちゃえよ」
二人で笑いあいながら、残った片付けを済ませていく。
あとは、台所の洗い物が少しと、翌日の仕込みだけだ。
「先に終わらせちゃおっかな…」
は独り言のように呟くと、翌日客に出すための料理の仕込みを手際よくやっていく。