第4章 教えてあげる<大久保利通>
「でも…大久保さんの誕生日なのに、何故私にこの服を?」
食後のお茶を飲みながら、が最もな質問を口にする。
「俺の願いを叶えてもらうため」
「願い…?」
「そう」
かちゃ、とお箸を置いて、大久保は真っ直ぐにを見る。
「これから先、俺はこれを着て色々な場所へ出かける事が増えると思う。にも、ついてきて欲しい。その服を着て」
「私も、ですか?」
「…いつもそばにいて欲しい。それが俺の願い」
もう、寂しい思いをさせなくていいように。
「…駄目?」
「駄目じゃ、ないです…嬉しい…」
感情が溢れ出して、喉がつまり言葉が出てこない。はやっとそれだけを、小さな声で絞り出した。
「」
席を立った大久保が、の額に優しく口づけて、潤む瞳を覗き込んだ。それからの手を取り、立ち上がらせる。
「回って、よく見せて」
「はい…」
ゆっくりと、一回転して見せる。
「やっぱり、可愛い」
「ありがとうございます…」
褒められる度にどきどきする心をしずめながら、も改めて自分の格好を見下ろしてみる。
「丈が、短いですね」
この時代、スカートの丈がここまで短いのはかなり先進的だろう。の言葉に、大久保は顔をムッとしかめる。
「幸男が」
「ユキちゃんですか?」