第4章 教えてあげる<大久保利通>
「そう、お揃い」
事も無げに言って見せる大久保に、の心臓はどきどきと落ち着かない。部屋でユキに着替えるように言われたのは、大久保の着る官軍服によく似た洋装だったのだ。
上着は大久保の物とほぼ同じ物。下は、ズボンではなく膝丈より少し長めのスカートだ。
「この国にはまだ、女物の洋装は少ないけど…どうしてもに用意したくて幸男に相談した」
「間に合うかどうか心配だったけど、何とかなって良かったわ」
安堵の息をつきながら、ユキが並ぶ二人を眺めてにっこりと破顔する。
「素敵よ。お似合いの夫婦って感じね」
「そ、そうかな…?」
「ええ!じゃあ、私は帰るから、あとはごゆっくり」
「ありがとう」
未だ戸惑うと、静かに感謝を述べる大久保に手を振って、ユキは颯爽と帰っていった。
現代では当たり前だったスカートも、着物を着るようになった今では何故だか不思議な感じがする。
「お腹空いた」
「あ、はい!すぐ用意しますね」
落ち着きなく自分の格好を眺めていたは、慌てて台所へと駆け込んだ。まだ温もりの残る料理を、お盆の上に並べて運ぶ。
机に料理を並べるの姿をじっと見ている大久保の視線が、気になって仕方ない。
「あの、大久保さん…?」
「…すごく可愛い」
その瞬間、身体中が沸騰したように熱くなる。