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【イケメン幕末】春を呼ぶ嵐のように(R18)

第3章 名前を呼んで(沖田END)


「すみません、説明もなしにこんな所へ来て。市中で今一番怪しいのが、ここなんです」

「そうなんですか」

優しくの腕を引いて、部屋に上がらせながら話す沖田に、相槌を打つ。

「ここなら、誰も他の部屋のことなんて気にしないでしょう?ずっと問題になってたんですが…男だけで来るわけにも、行かなくて」

「確かに、そうですね…」

手近な座布団にを座らせて、自分も適当な場所に腰を下ろしながら、沖田は話を続ける。

「さんは、何も気にせずにゆっくりしていて下さいね」

「はい。分かりました」




は、もう何度目か分からないため息を、こっそりついた。
お茶を淹れてみたり、物珍しさから部屋を見回してみたりしたけれど、そんなことに時間はかからなくて、あっという間にすることが無くなってしまった。

沖田は、部屋の壁際に体を預け、様子を伺うようにじっとしていて、邪魔になりそうで話しかけるのも気が引ける。

ずっと座っているのも疲れてきて、は立ち上がった。
布団の敷いてある、奥の部屋を覗いてみよう。

「わ…」

少し暗くしてある部屋には布団が一組だけしいてあって、枕だけが二人分置いてある。
それがとても生々しく感じて、顔に熱が集まってしまう。

「退屈ですか」

「っ…あ…だ、大丈夫です」

いつのまにか傍まで来ていた沖田に驚いて、は慌てて取り繕う。

「ふふ…さん、顔が赤いですよ?…想像、しちゃいました?」
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