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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第9章 闇夜


「だが可愛い女だ」

真顔で告げて海士仁は二人を見た。

「磯辺に伝えろ」

「忘れなきゃね」

「お前には頼まん。頼むぞ」

水月にバッサリ言ってから重吾を見る。重吾は少し考えてから頷いた。

「どれ程話を聞くかわからないが、引き受ける」

海士仁は頷き返して部屋を出るよう目顔で促した。

「磯辺の血」

「は?」

出かけたところでまた話しかけられ、二人は足を止めた。

「あれの血の話はするな」

「・・・別にしやしないよ。聞かれでもしなきゃ。なあ?」

水月が訝しげに言って、重吾も頷く。

「聞かれてもするな」

海士仁は目をすがめて念を押した。

「あれを連れて帰る気なら、慎む事だ」

いよいよ話し疲れたか先刻より深く息を吐いて、海士仁は笑った。

「ここには欲の深い者が多い。気を付けろ」










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