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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第9章 闇夜


昼過ぎて下がり、夕刻も近くなった頃から空を厚い雲が覆い始めた。空気が気持ち湿って来たが、雨は降り出さない。

「ぐらァ!!!!!何やらかしてやがんだ、こン馬鹿ヤローが!!!!!」

始めに通された小体な暑苦しい部屋で、デイダラは飛段に盛大に怒鳴り散らされていた。

「だだッ、バッ、チクショウ!何でオイラに怒んだよ!オイラァ鬼鮫のバカについてっただけだぞ!?殴り付けんなら鬼鮫からにしろ!アホ飛段!」

「や、ややや、止め止め、止めて!喧嘩はいかんぞな、もし!わちは争い事は好かんぞえ。止しゃれ!止しゃれ!」

「テメエは黙ってろ!」

「もしもしうっせぇぞ!うん!?」

「オメエはオメエでうんうんうっせェんだっつの!!何戻って早々コーキューなんて行っちゃってんだよ!?このクソ馬鹿助平ヤローどもが!!!お陰でこっちゃタッチの差で出入り禁止になっちまったじゃねえか!?クソッタレ!!!」

「・・・・・・・・・」

喚く飛段に同室の伊草はあたふたし、鬼鮫はどこ吹く風で腕を組んでたったまま、窓表を眺め渡している。

「そんなんオイラの知ったこっちゃねえや!!それより一発殴らせろテメエ!!!ああ!?」

「まままま、待ちや、待ちなされ、もし!」

デイダラが腕まくりして前に出たところで、見かねた伊草が割って入った。

「止めて!止めて!・・・わ、わちの為に争わんでおくれな、もし!ニフフ・・・・」

「誰がテメエの為に争うか!!!ドアホゥッ」

「やっぱきび悪ィ!!きび悪すぎておっかねんだよ、オメエは!?何だよ、ニフフって!わ、笑い声か!?まさかの笑い声なのか!?や、止めろおォォ!!!!オイラの美意識にまたヒビが入るうゥ!!!!」
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