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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第8章 華やかな垣根の向こう


覚えのある生温かい風が、くるくると花片を孕んでつむじを描く。
それに纏いつかれるまま、鬼鮫は誰も居ない花盛りの園地から目を離さないでいた。
たった今見止めてまた見失ったものが、まだそこにあるかのように。

「・・・・いたなァ・・・・」

デイダラの力の抜けたような呟きが鬼鮫を引き戻す。

「・・・・いた・・・・・いたけど、変わったな・・・うん」

眼鏡のないあの女の事を言っているのか、それとも違う誰かの話なのか、判然としない。しかし今の鬼鮫にそれはどうでもいい事だった。

花の香りが戻った。
そこにほんの僅か、煙草が混じり匂う。

逃げ水の風情は変わらない。だが生きていた。

奪える命がまだある。完全に取り零してはいないのだ。胸が広がるような心地を鬼鮫は静かに受け入れた。

牡蠣殻。

ここで何をしている?何故あの女と居るのだ。

いや、どうでもいい。

見付けた。捕らえる。
それだけだ。













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