第7章 飛段、孤軍奮闘
「牡蠣殻某かは定かではないが、数月前より後宮に草ならぬ女人が入り込んでおるようだえ。為蛍公認だで、怪しい者ではあるまいが、牡蠣殻とは美しい女子かいよ、もし?」
「ダハハ!牡蠣殻が?美人かって?ダハハハ!いや、全然。色気も素っ気もねえよ、アイツにゃ」
「ふぅむ。では人が違うわいな。為蛍は美しくない女子には興味がないよってよ。ふんふん。しかし興味深いぞえ。為蛍は昨今後宮におる女子の護りに変わった者を雇い入れたと聞くでの。さてはまさかに牡蠣殻某でないにしても、訳ありの女子を囲うたかいな、我が兄は、もし?」
「そう言われても俺ァ知らねえよ。それよりさ、後宮に牡蠣殻はいねェって事?」
「わちもここのところ後宮に顔を出してはおらんで、数月前よりおる女子に関しては何とも言えぬし、牡蠣殻某が美しい女子ではないというのなら、側女として後宮入りしておる事も考えられるわいな。もし」
「ならその側女だ、側女。アイツァ地味な女だから、そんな方が向いてそうだ。煙草吸いで酒呑みで本好きの眼鏡を探しゃいんだよ」
「・・・・そんな側女がおるかいな?」
「側女が何だかわかんねえ俺に聞くなよ」
飛段は伊草の肩を押しやって足を踏み出した。
「側女とかいうのがいるとこに連れてけよ。デイダラと鬼鮫が顔ォ出す前に調べつけといてやる。ただで置いてけ堀食らいっぱなしなんざ、真っ平だぜ」