第7章 飛段、孤軍奮闘

｢･･･テメエ考えやがったな。ナイスアイディアじゃねえかよ。よし。で、牡蠣殻はどこに居そうよ？見当くれェついてんだろ？｣

｢思うに、女を隠すには女の群れがよろし。後宮なと覗くのが妥当かと思うがよ？｣

｢コウキュウ？｣

｢女ばかり集まった煌輝らしい極楽よの。わちは着道楽の粧い道楽ゆえ、あこにいると目移りして心の臓が破裂しそうになるぞな、もし｣

｢そら一石二鳥だな！っつっても何が一石で何が二鳥かは聞くなよ？俺ァ答えらんねえからな｣

｢？はあ、飛段殿がそう言われるなら委細承知、別にどっちゃでもわちは構わないぞえ。
何がどっちで何がこっちかも知れぬがの、ニフフフフッ！｣

｢ダハハハハ、ま、そこらへんはいーんだよ。俺ァ空手で帰って角都にぶっ飛ばされなきゃそれでいンだ。その上女ばっかの目のホヨーが出来りゃ言う事ねえや。そこに牡蠣殻がいりゃ更によし！さ、さ、行くぞ、行くぞ｣

｢ニフフッ、楽しそうだの、飛段殿。そこもとも着道楽かいな？でなくば粧い道楽かの？ニフフンッ｣

｢や、俺はハッキリ言や女道楽だ。つか、そんな話はまあいンだよ。早いとこ案内しろ、コーキューに｣

｢先に言うとくがな、もし。後宮にいる女子は皆我が兄為蛍の妻女だえな。迂闊に手を出すと股間の宝物をモガれるでな、ニフッ｣

｢ふほおお。アンタの兄ちゃんは絶倫のケチか！｣

｢アィダチチッ！控えなされよな！為蛍は怒らせてはならんぞえ？｣

｢ゲハハッ、知らねえよ、そんなんよ！ま、いいから連れてけよ、あ、伊草ちゃん？｣

｢ぐおっ！ちゃん!?伊草ちゃん!?ごぶっ、今このわちを伊草ちゃ、ちゃ、ちゃ、ちゃ････｣

｢ハイハイ、行くよ、伊草ちゃん｣

｢げぁっはーッ!!!!｣

｢おいおい、ここで死ぬなよ？俺ァ他人の死に水はとらねえからな｣

｢我が人生に一片の悔いなしいィィィ!!!!｣

｢ゲハハッ、羅王か！行くぞ、伊草ちゃん｣

｢がっはあァァァァァ!!!!!｣

｢何だよ、メンドくせェジジィだな、ごら。帰るぞ？いいのか？あ？｣

｢あ、ごめん。止めて止めてだワイな。案内するぞな｣

伊草のデカイ手が飛段の手をソッと握る。

飛段は即座にその手をはたき落とした。

｢止めろって。俺にゃ男と手を繋ぐような趣味はねえの！｣

｢慣れてくれんかえ？わちは手を繋ぐなら男っつう趣味しか'ないんだえ？｣