第20章 杏可也、そして牡蠣殻。
「成る程、君もアレだ。お命頂戴したい身内がいる訳だ。若いのに大変だねえ」
草の外壁を見上げながら、藻裾が鹿爪らしく腕組みしている。
「そんな呑気なもんじゃねえ。知ったような口をきくな」
その隣で矢張り鹿爪らしく腕組みしたサスケがイライラと言い返す。
「ホント綺麗な顔してムカつくヤツだな。オマル丸さん、こら躾がなってねえですよ、マジで」
ニッコリ笑った藻裾がサスケの向こうの大蛇丸を見た。大蛇丸はしょっぱい顔で溜め息をついた。
「アンタもいい加減で黙りなさいよ。呑むわよ」
「ハハハハ。またまた。アタシなんか呑んだりした日にゃ腹ぶち破って出てきますよ?リプリーもビックリしてゴーストバスターズですって」
「シガーニー・ウェーバーは嫌いじゃないわ。女じゃないから、アレは」
「じゃない仲間の血が騒ぐってか?」
「・・・何よ、じゃない仲間って」
「女じゃない、男じゃない、普通じゃない、人間じゃない、ね?」
「ね?じゃないわよ、巧い事言って腹立つわね。アンタ、アタシに噛まれたいの?アタシに噛まれると呪印がついて歯痛より酷い苦痛に見舞われた挙げ句身体中変な模様でいっぱいになるのよ?サスケくんみたいにみっともなくなりたいの?」
「みっともないだと!?カッコいいじゃないか、アレは!」
「やぁねえ・・・中二病なんだから・・・」
「バ、バカな!中二病だと!?中二病なのか!?アレはカッコいいものじゃないのか!つけた本人が今更何を言い出すんだ!?ひどいじゃないか、どうすんだ、アレ。治るのか!?治るんだよな⁉おい、薄笑いするんじゃねえ!まさか一生興奮する度中二病の看板みたいな柄を浮かび上がらせて生きてかなきゃないのか、俺は!」
「慣れなさいよ」
「わあぁぁ!!!冗談じゃないぞ!イタチのヤツとやりあってる大一番の最中に出て来ちゃったらどうすんだ!?アイツにプッとかって笑われたら俺は死ぬ!死んでやるからな!?」
「死んでないで笑ってるイタチくんの隙をついたらどうなのよ。よくわかんないコねえ、アンタも。一体何がしたいのよ?」
「俺はイタチにふくしゅ・・・」
「だったら変な模様で笑われるくらい我慢しなさいよ。変でも強くはなるんだから、アレ」