第4章 成り損ないの蛇とカキガラ
「バッカじゃないの、あの女!スゲエムカつく!香燐と同じくらいムカつく!」
「おい!何でそこにウチが出てくるんだ!関係ないだろ、バカ!」
「関係ない?揃いも揃って僕をムカつかせといて関係ない?バカはどっちだよ、バカ!」
「二人とも、バカバカ言うのは止めろ。バカって言ったヤツがバカなんだぞ?」
「じゃお前もバカだ、重吾。今バカって何回言った?あ?」
「・・・・香燐、そういうのは揚げ足とり・・・」
「僕はバカじゃないぞ!キミら二人がバカでも、僕だけはバカじゃない」
「水月、その言い方は角が立・・・」
「一番のバカがお前だっての!もうそういう事言って一人抜けしようとするとこがバカ!大バカ!」
「うるさい」
投げ槍で苛立った一声で、賑やかな言い合いがピタリと止まった。
「下らない事で騒ぐな」
声の主は尋常一通りでない目なぐを顔に当てた指の隙間から覗かせて、低く続けた。
「黙るか出ていくかしろ。邪魔だ」
「・・・・あのさぁ、なんっでそう偉そうなの、キミは。自分は特別面しちゃってさ。写輪眼てのはそんなに特別な訳?まんまいっちゃってる目にしか見えないンだけど?それって新しい瞳孔の開き方?みたいな?」
「バカ、水月、殺されるぞ」
諌めるような事を口にしつつ、キラッキラの目で新しい瞳孔の開き方を実践しっぱなしの相手を凝視しているのは、赤い眼鏡がキツい顔立ちに映える香燐。
「ハ。殺せるモンならやってみろっての。あんまり僕を甘く見るなよ?今回の事で腹を立ててンのはキミだけじゃないんだ、サスケ。八つ当たりするのはいい加減止めてくんないかな?」
尖った牙を口元から覗かせて、霧の里の出自らしい色味の悪い細面の花貌を挑発的に歪める水月。
「止めろ、二人とも。喧嘩する事は何もない。全員が間抜けだった。それでいいじゃないか」
穏やかで思慮深げな顔立ちに大柄な体を持て余すような風情の重吾が割って入った。
ぶっちぎりの不機嫌顔でフラリと立ち上がったのは目付きこそ尋常ではないものの、常に不興気で端整な顔立ちが目を引くうちはサスケ。
「あー、重吾にフラグが立っちゃった」
「あぁん、サスケがたッちゃったン!」
「・・・・バカじゃないの、キミ?何でここでエロテイスト折り込んでくんのさ。ウザいよねー、ウザい。変態ストーカーマジウザい」