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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第16章 汐田の分岐器


草の外壁は高い。冗談ではなく見上げると首が痛くなって来る高さだ。

「何か聖書にあったわね、こういうバカげた建物。何ていったかしら?ドムドムの搭?・・・流石イオングループ、羽振り良いわよね」

「・・・・・・」

「しかし何回見てもバカげてるわ。白ける。こういうのも拝金主義っていうのかしらねえ・・・」

腕組みして外壁を見上げた大蛇丸が呆れた顔をする。

「・・・・・・」

傍らで端整な顔貌に不機嫌の三文字を張り付けて黙り込んでいる少年を、大蛇丸は横目でチラッと見た。

「・・・拝金主義って何か考えてる?」

「・・・・・・」

「それともドムドムの搭?やあねえ、アタシ、ロッテリア派なんだけど」

「・・・・・・」

「・・・やっぱり拝金主義?わかんない事は黙ってないで聞きなさいよ、全く。教えたげるわよ。あのねえ・・・」

「自分で思い出すからいい!余計な事を言うな」

ビシッと言い切ったサスケに、大蛇丸は何とも言えない笑顔を向ける。

「・・・あのねえ・・・。空っぽの引き出しを引っ掻き回しても探し物は出ちゃ来ないのよ、サスケくん」

「俺が物持ちの少ない貧乏だって言いたいのか?」

「・・・サスケくん・・・それだけたらふく美貌に恵まれてて何でそんないじましくて僻みっぽい事言っちゃうの・・・」

「黙れ。俺がどれだけ切り詰めて暮らして来たか、訳のわからない研究にバカみてえに金注ぎ込んでるオカマにわかってたまるか!キャベツやもやしや玉子に一円単位で振り回され続けて来た俺の苦労がお前なんかにわかるもんか!」

「・・・だから早くアタシんとこ来りゃ良かったのよ。育ち盛りに毒よ、そういう生活」

「もやしをバカにするな!もやしは使えて旨くて安くて身体に良いオールマイティーのナイスガイなんだ!」

「あぁ、イタチくんみたいな?」

「あ"あ"!?」

「オールマイティーのナイスガイなんでしょ?」

「オールマイティーのナイスガイが一族郎党皆殺しにして暁なんて何やってっかわかんねえ連中ともにょもにょするか!?ホント何やってんの、アイツ!?何か世の中変えちゃう的な事すんのかと思うだろ、あそこまでやらかしたら!実際にゃ地味に右往左往しちゃってんじゃん!?居場所掴むのにも困るくらい地味って何!?色んなやる気がうせんだよ、コンチクショウ!!」

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