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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第14章 引き際の線引き


デイダラは肩をすくめて牡蠣殻の頭をパチンと張った。

「オイラんこたァどうだっていんだよ。テメエに関係ねえ。それよかまた面倒起こすなよ?鬼鮫もウゼェけどイモ裾に知れたらもっとウゼェ。うん。とっとと行って戻って来い」

「仲良いですもんね、汐田さんとデイダラさんは」

「・・・その勘違いに関しちゃ言いたい事は山程あるが、長くなるからいい・・・・」

「・・・・・ああ。成る程。後の話は本人とどうぞ。よろしくお伝え下さいな」

牡蠣殻は目をすがめて鬼鮫を振り向いた。
欠けた歯を見せて笑うと、袷を正して礼する。

「では行って帰ります」

簡単に告げ、次いで飛段に目礼すると生温かい風を吹かせて呆気なく消える。

鬼鮫は眉をひそめた。胸に厭な喪失感が滲む。

「あらら。あっさりしたモンだな。照れちゃってんのか。ダハハ、いや、変なモン見させて貰ったぜ、デレる鬼鮫、な?プ。アハハぁび・・・ッ」

腹を抱えた飛段を鬼鮫が冷たい顔で見やる。

「死にたければその調子でどんどん話してなさい。さあ遠慮なくどうぞ?」

「たく、バカばっかだな!何遍言やわかんだよ?おらァ死なねんだっつの!ばァか!」

「膾になるまで切り刻まれて魚の餌になっても生きているかどうか試してみましょう、私も興味津々ですよ。・・・ああ、成る程。デイダラ、多分あなたに客ですよ。きちんと相手しておきなさい」

ひゅっと軽く外套の裾をからげた風に鬼鮫が顔をしかめた。

「あん?」

「面倒な。あの人が急ぐ筈ですよ。誰が現れるか知りませんが私は関わりありませんからね」

「何言ってんだ、お・・・・ぐは・・・ッ」

外套を翻し、飛段を促してアジトへ向かう鬼鮫に、声をかけようとしたデイダラが潰れる。

「あれッ、また失敗したかッ?ダッハー、つくづく向いてねえなッ、この失せるっての!ごめんごめん、今退くからさ・・・」

けたたましい声にデイダラは頭を抱えた。

「・・・・オメエかよ。またオメエかよ・・・ふざけんなよ、うん?前回は便所で糞の邪魔して今度は人ォクッションにしやがって、いちいちいちいち何なんだよ!?よそでやれよ、このチビザル!!!」

デイダラを見下ろして目を瞬かせたのは汐田藻裾。
鉛を仕込んだ靴でデイダラの頭をギュムと踏んで地面に下り、栗鼠のような顔でにッと笑う。

「なんだ、テメエかよ、謝って損したな」
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