第3章 疑心暗鬼
頭のこぶを撫でながら傍らに並んだ自来也を見て、綱手はまた溜め息を吐いた。
大蛇丸はどこだ?・・・牡蠣殻はどうなっている?
焦れ焦れする思いはダンゾウへの疑心暗鬼に繋がる。
綱手の預かり知らぬところで根を動かし、牡蠣殻を捕らえようとしていたダンゾウは、綱手のそれとない、しかし聞くものが聞けばこの上なくハッキリした牽制で矛を収めたかに見えたが、底の知れぬ男の事、腹の内で何を画策しているか知れたものではない。
そして砂。一時牡蠣殻を囲い、結句彼女を逃した同盟の里。
綱手の眉間の皺がまた深まった。
「おい。息を吐くときは余計な事は考えるもんじゃないぞ」
自来也が綱手の眉間に指先を当てて、苦笑した。
「呑め呑め。今日は呑んで潰れてしまえ。後の世話はわしが見てやる」
「・・・・何だかフワフワした慰めだな。当てにならん」
綱手は眉尻を下げて、息を吸った。
「まあいいか。今日はとことん付き合って貰うよ」
日暮れ始めた表に目をやって、綱手は呵責に痛む胸を押さえた。
会ったこともない牡蠣殻の死を願う自分がやりきれない。本気で木の葉へ迎え入れようと思っていたから尚の事。
・・・・もし木の葉へ来たら・・・
藻裾に信じろと言った言葉通り、牡蠣殻を悪いようにはすまい。思惑はあるがそれだけでなく、内からも外からも囲いきって見せる。
必ず囲いきって見せる。