第14章 引き際の線引き
「・・・・何か騒がしいな。どうかしたのか?うん?」
鬼鮫と牡蠣殻を置いて室を出たデイダラが、取り澄ました草らしくもなく足早に行き来する官人らに眉をひそめた。
「フン?・・・何だろうなァ」
飛段も今までとうって変わって騒々しい辺りの様子に怪訝な顔をする。
「また誰かみたいな間抜けが後宮にでも顔ォ出したかァ?」
「・・・ありゃ鬼鮫が・・・・・」
言いかけたデイダラがピッと口を閉じた。
向こうから伊草が来る。若い男を二人伴っている。
「何だ何だ、年食った王子様はお相手もよりどりみどりってか?ゲハハハ」
お馴染みの笑い声を上げた飛段の頭をひとつ張って、デイダラが険しい顔をする。
「馬鹿、あら多分牡蠣殻の連れだ」
「・・・・テメエ、人の頭張っといて何の話だ」
「牡蠣殻の連れだっつってんだろ?うん?テメエ、マジ脳ミソ引っ張り出して動作確認かますぞ?」
「わかってんよ。大蛇丸ンとこのモンだっつぅんだろ?それが何だよ?関係ねえじゃん」
「何で伊草といんだよ?」
「知らねえよ。若くて男だからじゃねえのか?」
「なら牡蠣殻は要らねえだろ?そういや何で大蛇丸は草となんか連んでんだ?気に食わねえ」
「何だぁ?焼き餅かぁ?・・・・え。ヤだちょっとマジ?そんなに伊草が好きだった?ブッ、いや、あの・・・・・全然気付かなかったわ。何かゴメンな?」
「・・・・・・いやもう、じっくり黙れ、飛段」
「あや、どこに行かれるぞな、もし」
伊草が足早に近づいて来た。連れの二人も伊草に続く。
「珍しいとこで珍しい顔を見るな。アンタら暁でしょ?」
生意気そうな、鬼鮫を思わせる肌の少年が不躾に笑いながら言った。
傍らのなかなかの体躯をした少年が、その物言いに僅かに眉をひそめる。
「・・・水月」
「何?お行儀良くしろってか。必要ないんじゃない?この人たち、皆S級のビンゴブッカーじゃん。お行儀良くしなきゃないのはボクじゃないよね?宗教に走って人殺したり何でも無闇に爆発させてるこの人たちだよね」
「何だこのガキ」
飛段が呆れ顔で水月を見やる。
「ホント行儀良くした方がいいぞ?いいコにしてりゃ裏なり河童みてえな顔色も良くなるかもしんねえよ?でなくともジャシン様から褒美が出るぜ。こら確実だ。何せ俺がジャシン様に代わってくれてやんだからよ、褒美をよ」