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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第13章 鬼鮫と磯辺


不思議と確信に満ちて呟くと、牡蠣殻は鬼鮫の胸に顔を伏せた。

「ありがとう、干柿さん」

鬼鮫は黙って牡蠣殻の薄い体を抱え込む。暗闇で抱いたときとは違う確かな感触に身内がざわめいた。息を吐く。

頭に海士仁と波平が、そして杏可也がある。

殊にあの姉弟。

あの厄介な女から牡蠣殻を振り離すにはどうすべきか。あの一見嫋やかで優しげな女に、牡蠣殻は否やと言えるのか。深水に次ぐ恩を感じている波平にも。

判じかねるだけに、もう会わせるべきではないと鬼鮫は断じた。

草を出る。この女を連れて。

それがいい。それでいい。

穏やかなようでざわめく内心から目を背け牡蠣殻のようでない牡蠣殻を抱きしめる感触が何処か上滑りに不確かで、鬼鮫は眉をひそめた。抱くその手も己のものでないような。

これでいいのだろうか。

…何故そう思うのか。











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