第56章 ありったけの感謝を込めて
「そう。
それでそこで波瑠ちゃん、熱を出したの」
「え、熱?」
「うん。
お店から帰る途中で雨に降られて、それで熱を出しちゃったのね。
それで倉庫に入ったんだけど、倉庫でもトラブルがあって閉じ込められちゃったの。
一時的にね」
「…はい」
「結果的にはなんとかなったけど、波瑠ちゃん熱出しちゃったからここで安静にさせてたの。
どう?少しは思い出した?」
「…いえ。
でも、ありがとうございました。
迷惑かけました」
ペコッと頭を下げる。
「ううん。
かけたのは迷惑じゃなくて、心配の方だから。
私は大丈夫。
それより他の皆の方が心配してるだろうから、一言声掛けてあげてね」
「はい」
コンコンコン!
強めのノック音。
「開いてる」
それに対し、清水先輩が返事をする。