第55章 ハプニング
「そうですか…」
「それより、波瑠さんは大丈夫?」
「今はなんとも…少し眠ってます」
「そうか。
とりあえず中へ移動しようか」
「はい」
「背負える?」
「大丈夫です」
例え赤葦さんでも、波瑠にはあまり触れさせたくない。
自分がこんなに嫉妬深いとは思わなかった。
波瑠に負担を掛けないようにと、優しく背中に背負う。
「ッ…」
背中に柔らかい感覚が当たる。
気にしちゃダメだ。
「月島、大丈夫?」
「はい」
赤葦さんはよく周りを見ていて、鋭い。
僕が何を考えているか、お見通しだ。
「じゃあ行こうか」
「はい」
赤葦さんに続いて、倉庫をあとにする。