第55章 ハプニング
「けい…」
「ん?」
「寒い…もっとぎゅ…」
「はいはい」
大きく脈打つ心臓に波瑠が気づかないか不安になる。
「けい…鼓動早い」
「ちょ、聞かないでよ」
グイッと押し、波瑠の身体を離す。
「やっ、離しちゃや」
慌ててぎゅうっ、と身体を密着させる。
「可愛過ぎでしょ…なんなの、もう」
赤くなった顔を隠すかのように、波瑠の首元に顔を埋める。
「可愛い」
と、僕の頭を撫でる。
「ちょっともう…反則でしょ、色々これ」
「けい、あったかい…」
顔を埋めている為、時折首筋に触れるけいの唇。
柔らかくて、温かい。
首じゃなくて、もっと…別の…。
「けい…」
別の場所にしてくれないかなぁ。
「ちゅー…」
「は?」
「ちゅー、したい」
「ダメ。
君の身体が治ってから」
「どっこも悪くないの」
「ダメ」
「やだ、する」