第55章 ハプニング
ハァ…ハァ…、と吐かれた熱い息が胸をくすぐる。
………熱い………?
「!
波瑠、君もしかして…」
手探りで顔を探し、額に手を宛てがう。
「やっぱり…」
予想通り、波瑠の身体は熱を持っていた。
立っているのも辛そうな程に熱い。
「早く治療して、安静にさせないと…」
そう思い、閉まった扉に手をかける。
が、全くと言って良い程ビクともしない。
こんなところで自分のパワー不足を痛感することになるとは、思いもしなかった。
悔しい。
波瑠が辛い時なのに、何も出来ないなんて。
「けい…どっか行っちゃやだ…」
扉を開こうと手を離した月島に、精一杯手を伸ばす。
「分かったよ、どこにも行かないから」
開かない扉から身体を離し、波瑠を抱きしめる。
「ふふ…けいが近くに居る」
ぎゅうぎゅう、と容赦なくその身体を押しつける。