第55章 ハプニング
雨に打たれながら、夜道を走る。
バシャバシャと水が跳ねるが、そんなもの気にしない。
いちいち気にしてたら走れない。
互いに一言も発せず走り抜き、目的の場所まで着いた。
「やっぱり、閉まってるね」
乱れた呼吸を整えながら、溜め息を吐く。
「だね…最悪。
居る意味ないし、帰る?」
「そうだね、そうしようか」
来た道を、また走って戻って行く。
「はぁ…やっと戻って来れたよ」
「そうだね。
倉庫からも取って来たい物もあるし、一旦倉庫寄っても良い?」
「良いけど、それも烏養さんからの頼まれ物?」
「そう」
「ふーん。鍵は?」
「かかってないらしい」
「不用心だね」
「確かに」
呼吸を整えるように、歩いて倉庫へと向かう。