第55章 ハプニング
「蛍…」
「いつも要らん心配して、ウザがられたくないから黙って…。
僕は君のなんなんだよ、彼氏じゃないのかよ。
僕のこと、そんなに信用出来ない…?
頼りない…?」
切なそうにこちらを見つめる瞳。
その瞳にはいつもの自信なんてものはなく、ただただ不安に揺れていた。
「ごめんなさい…極力負担とかかけたくなかったから」
蛍の気持ちまで考えが回らなかった。
「遠慮とか、そんなの要らないから。
僕はそんなにヤワじゃない」
「ありがとう…ごめんね」
「別に。
これから気をつけてくれれば良いから」
「うん、ありがとう」
「それで?どうするの?
雨脚強まって来てるけど」
「走ってく。
なんとかなるでしょ」
「変なとこで王様ににてるよね。
ま、着いてくけど」
「似てないよ。
さっさと行って、さっさと帰ろうか」
「そうだね」