第55章 ハプニング

｢なんかごめんね、蛍。

自主練後で疲れてるのに｣


｢別に、そんなヤワじゃないから。

波瑠を1人で行かせられないでしょ。

危なっかしいんだし｣


｢うん、ごめん｣


｢謝らなくて良いから｣


｢ありがとう｣


体育館の廊下を歩きながら話す。


｢波瑠、あの人と…どんな関係？｣


｢あの人？｣


｢…及川さん。

あの人…波瑠にだけ態度違うから｣


｢及川先輩？

あぁ、元彼だよ｣


｢は？｣


｢中学の時、付き合ってたの｣


｢はい？｣


｢あれ、言ってなかった？｣


｢聞いてないんだけど｣


｢嘘、ごめん｣


｢別に｣


と言って、首を触る。


｢何か誤魔化してる？｣


｢なんで？｣


誤魔化したり、嘘をつく時首を触る癖があるから。


｢なんとなく｣


なんて、本人には言えないけど。


｢君には関係ないでしょ｣


｢関係なくはないんだけどね。

まぁ、言いたくないことを無理に言わせる気はないから良いよ｣


｢そう｣