第52章 勝負とプールと企み
「るぅ!
サーブ練付き合って〜」
「え、私ですか?」
監督達の前でよく言えたな。
「他に付き合ってくれる人は居なかったんですか?」
「んーにゃ?
居るけど、俺はるぅと練習したいの」
だよね、西谷先輩なら喜んで引き受けそうだし。
「まぁ、別に良いですけど」
「ほんと?よし!」
時間さえあれば、だけど。
「柏木。
どうせやんなら、ジュースかなんか奢って貰えよ。
こいつにただで付き合ってやる義理はねェからな」
「なんで!」
「それとあんま無理させんなよ。
これからまだ仕事あんだから」
「分かってるよー!
じゃあ5本ね、5本中3本取れたらジュース奢ってあげる」
「その条件だと、取れなかった場合は私が奢るんですよね?」
「その場合は俺がお前に奢ってやる」
「え?」
イズミ先輩が?
「岩ちゃん、その言葉忘れないでね」
「忘れるか、ボケ。
なんも心配することねェぞ。
いつも通りやりゃ問題ない、頑張れよ」
ポン、と頭に骨張った手が乗った。
「はい、頑張ります」