第50章 安眠
側に寄ってくれるということは、蛍も嫌ではないのだと自惚れても良いのだろうか。
「別に寝ても良いよ。
変なことしないし、ちゃんと届けるから」
「それはダメ、蛍に負担をかける」
また迷惑を被ることになる。
「の割には身体は素直だと思うけど」
意思に反して徐々に重くなる瞼と身体。
「うるさい」
あー、本当にダメだなぁ。
「私寝て来…っ」
急に起き上がろうとした為か、眠気で脚に力が入らなかった為か、
またも脚をもつれさせる。
今日こればっか。
「何回やれば気が済む訳?」
そして再び難なくキャッチされる。
さっきとは違うところは、そのまま頭を下に降ろされたこと。
あろうことか、蛍の膝の上に。
「け、け、蛍?」
これはいわゆる膝枕というやつだ。
「このまま歩かれるとまた転ぶから。
もう寝れば?」
「む、無理」
これはこれで緊張する。