第50章 安眠
分かりづらいけど、目が合った瞬間に顔をしかめてる。
日向とか影山とか、2年生2人は露骨に嫌な顔をしてるけど。
それでは誰が見たって分かるだろう。
「とりあえず明日研磨くんに打診してみる」
「あの人が引き受けてくれるとは思わないけどね」
「確かに。
でも聞くだけ聞いてみるつもり」
「君も物好きだね。
断られるの知ってて言うんだから」
「煩い、あっ」
脚が絡まり、バランスを崩す。
「ドジ。
暗いんだから気をつけてよね」
蛍に難なく支えられ、転倒こそしなかった。
「あ、ありがとう」
でも正面から抱きしめられる形なのは些か恥ずかしい。
「あの…もう平気だから」
顔に熱が集まり始め、心臓の鼓動はドクドクと早鐘を打っている。
「凄い早い」
「き、かないでよ」
聞かれまいと慌てて押し返すが、その反動でバランスを失い2人同時に倒れてしまった。