第50章 安眠
「ったた…。
あ、ごめん。蛍大丈夫?」
選手に怪我させたなんてことは、あってはならない。
「平気だよ」
蛍は尻餅をつき、私はそんな蛍の上に乗っかっている。
これはこれで恥ずかしい。
けどさっきのような失態は出来ない。
どうしよう。
「あ、のさ…」
「波瑠ってこういうスキンシップに慣れてないの?
キスにも取り乱してたし」
離れて、と言いそびれてしまった。
タイミングが良いというか、蛍がかぶせたのか。
どちらかは分からない。
仮に後者だった場合でも、私は先の失態があるので蛍を責めることは出来ない。
元々こうなったのは私の責任だから。
先に迷惑を被ったのは私自身だ。
自分が招いたことに被害者面をしてられない。
「…バレーばっかりやってたから、そういうのはあんまり…」
中学時代も、3年近く付き合っていてもせいぜいキス止まりだ。
私が根性なしなのと及川先輩が優しいのもあり、私の嫌がることはして来なかった。