第45章 好み
「ヤメロ。
我が部の信用に関わる」
「えーっ。
黒尾さん、俺のことなんだと思ってるんですかぁ」
「聞くか?」
「ヤメトキマス…」
黒尾さん、笑顔が黒い。
「なぁ、あのあと赤葦大丈夫だったのか?」
「大丈夫ですよ」
「赤葦がどうかしたのか?」
「ちょっとオーバーワークしただけです」
「ほー、あの赤葦がなぁ」
「ストイックですからね」
「まぁ、想像出来んでもないがな」
「でもトス上げてるだけでスパイク決められる訳でもないじゃん。
そんなの何が楽しいんですか?」
「お前なぁ、それ研磨のこと否定してんだろ」
「えぇっ、してないですよ!
研磨さんも何が楽しくてセッターやってるんですか?」
「別に…何も」
「スパイクが打てるのはトスが上がるから。
そのトスが上がるのは、繋げてくれる仲間のレシーブがあるから。
セッターっていうのは言わばチームの司令塔。
高い能力が要求されるポジション」