第45章 好み
「ほぇ〜…。
セッターが凄いのは分かったけど、でも結局のところ誰が1番のセッターなの?」
それをここで言うか。
「そりゃお前研磨だろ。
…って言いたいところなんだけどよ。
実際のところよく分かんねー。
それぞれ持ってるモンが違うから比べらんねーんだよ」
「確かに黒尾さんの言う通りですね。
誰が1番かなんて関係ありません。
むしろそれにこだわっている方が弱い証拠です」
「そうだな。
勝つ為には3年だろうが、1年だろうが上手い方がコートに立つ資格を得る。
俺に遠慮なんかせずレギュラー奪うつもりで頑張れ」
ポン、と芝山くんの頭を叩く夜久さん。
「で、出来ますか…?僕に」
「あァん?
何言ってンだ、お前」
「ひっ…すいません、すいません」
「出来るかどうかじゃねェ、やるんだよ」
「すいま…え?」
「出来るかどうか、っつー気持ちでやっててもテンション上がんねェだろ。
絶対ェやってやる、っつー気持ちでやれよ」
「は、はいっ」
流石は上級生。
分かってなさそうな顔して、分かってる。