第44章 夜道
「ごめん、仁花。
ちょっとこれ持ってて」
「あっ、うん」
持っていた荷物を仁花に預け、体育館の中へと脚を踏み入れる。
「ストップです」
トスの為のボールを上げようとする木兎さんの手から、ボールを取り上げる。
「あ、彼女ちゃん!どうした?」
「どうした、じゃありません。
完全なるオーバーワークじゃないですか」
「俺はまだまだ余裕だぞ?」
「京治くんが、です」
「赤葦が?」
「木兎さんは片づけ始めてください。
京治くんは少し良いですか?」
「俺も片づけ手伝わないと」
「たまには先輩の優しさに甘えても良いんじゃないですか?
もっと頼ってあげてくださいよ」
「そうだぞ。
たまには先輩に任せなさい!」
「…すみません、お願いします」
と、頭を下げる。
「とりあえず…ちょっと来て貰っても良いですか?」
問いかけてはいるものの、有無を言わせず水道まで連れて行く。