第44章 夜道
蛇口を捻り、水を出す。
「手先を冷やしててください、すぐ戻ります」
体育館へ京治くんのジャージを取りに行く。
「冷やせました?」
「一応はね」
身体が冷えないよう、肩からジャージをかける。
「コールドスプレーが今ないから、ごめんなさい」
「謝るのはこっちの方だよ」
水で指先を冷やしながら、マッサージを施していく。
指1本1本を丁寧に包み込み、温め解すように揉み、極力痛くならないようにゆっくりと指先を曲げてみる。
それでもやはり痛みが走るのか、時折京治くんの身体がピクリと跳ねる。
炎症はあるけど、痛みを感じてくれるのならば良い。
ゆっくりと、時間をかけて丁寧に指先をマッサージしていく。
「先に戻ってて良いですよ。
そんなところで様子を伺ってないで普通に声をかけてください」
「いや、赤葦が心配でさ。
大丈夫か?」
「平気です。
明日も木兎さんに最高のトスを上げるので、今日はゆっくり身体を休めてください」