第39章 救世主
「うちも “ 落ちた強豪・飛べない烏 ” なんて不名誉な呼び名がついてるし」
「少しカチンと来ますね。
烏野は決して弱い訳じゃない」
試合記録を見てそう思った。
特別強いという訳でもなかったけど、特別弱くもない。
そこに新戦力が加わり、烏野は進化の途中だ。
何も知らない癖に言わないで欲しい。
「それにアップを見た感じ、ここに居るチームは皆強い。
それだけはハッキリ言えます」
「まぁ、前回も前々回も負けっぱなしで終わってるから…」
菅原先輩が苦い顔をする。
「ペナルティ三昧だったもんな、お前ら」
「いや、そういうんじゃなくて。
私が強いと評するチームの特徴は1つです。
それは良い意味で、先輩後輩がなってないチーム」
「ごめん、ちょっと分からない」
「先輩だからとか、そんな理由でコートに立つ人が居ないんですよ。
強い方がコートに立つ資格を得る。
先輩だからとか、そんな理由で強くもない人がコートに居るのは個人的に好きじゃないんです。
先輩だとか後輩だとか関係なく、実力でレギュラーを勝ち取る。
そんなチームがほとんどなんですよ、ここは」