第37章 誘惑

「じゃあすぐ隣の客間で良い？

布団は用意するから」


「それくらい自分でやるから場所だけ教えて。

君は君の仕事をやりなよ」


「部屋の押し入れにある」


「分かった」


不器用だけど、こういう何気ない気遣いがモテる理由なんだろうな。


もちろん容姿もあるだろうけど。


ってそんなことより、こっちを先に考えなきゃ。


苦手克服と基礎能力向上の為のトレーニング内容…か。


「程々にしなよ」


「…うん」


「倒れられたら困るから言ってるんだけど」


「マネージャーの仕事は休まないよ」


「そうじゃなくて…」


「そういうことじゃないの？」


「違う。

もうほんっと鈍感」


「そこまで言う？」


「言う。

カノジョ心配するのは普通でしょ」


彼女…‼︎


その響きに酔いしれる。


「無理はしないからもう少しだけやらせて」


「それ急ぎな訳？」


「そうじゃないけど…」


「じゃあ却下」


「え」