第37章 誘惑
蛍の居ないところの方が良いかな。
いくら時間が経ったとはいえ、負けた時の記録程辛いものはないからね。
DVD以外の記録を録り終え、一旦休憩を挟む。
「んーっ…」
ずっと座って作業していたからか、腰と肩が痛い。
「やっと休憩?」
「ぎゃ…」
「ぎゃ、って…色気なさ過ぎ」
「私にそういうの求めないで。
ていうかいつから居たの?」
全然気づかなかった。
「結構前から。
集中してたから一応声かけないでいた」
「あ、ありがとう」
その気遣いはありがたい。
「また分析?」
箇条書きにしてまとめられたノートを上から覗き込みながら尋ねる。
「そう」
いくつか思うことはある。
普段の練習、そして今度の合宿で少しは改善されると良い。
「先寝てて良いよ。
あ、寝る場所どうしよ」
客間で良いかな。
「ベッドか布団、どっちが良いとかある?」
「別にないけど」