第37章 誘惑
コンビニを出ると、携帯が鳴った。
「あー、ごめん」
「出れば?」
「ありがとう、もしも…」
『ももも、も、もしもし⁉︎』
慌てた様子の電話。
「一旦落ち着こうか」
『あ、うん』
「どうかしたの?」
『ひ、日向と影山くんが未だに練習を終わらなくて…。
見回りの先生にも注意されたんだけど…』
あのバカ…‼︎
合宿前に問題起こそうとしないでよ。
「分かった、ちょっと待ってて」
私すっかり世話役が板についてるよね。
「ごめん、ちょっと学校行って来る。
これ家の鍵。
開けて勝手に入ってて良いから」
「警戒心とかない訳?」
「警戒して欲しいの?」
「質問に質問で返すの止めてくれない?」
「ごめん。
蛍なら大丈夫だと思って。
じゃあ行って来るから」
「はいはい、行ってらっしゃい」
蛍に背を向け、学校へ向かう。