第37章 誘惑
「あっ、柏木さん〜‼︎」
体育館の前に着くと、谷地さんに泣きつかれた。
「もう1本っ」
「おう」
全くこの2人は…。
「止めなさいっての」
「もうちょっとでなんか掴めそうなんだ!」
「あと10本ぐらい良いだろ」
「良くない。
時間過ぎてるでしょ、さっさと片づけ」
「えー」
「返事!」
「「…」」
黙って目を逸らす。
「へ、ん、じ、は?」
「「…うす」」
「じゃあさっさと片づけして。
ごめんね、うちのバカ2人が。
言いたいことあったら遠慮せずどんどん言って良いよ。
遠慮なんかしてならズルズル流されちゃうだけだから」
「おい、お前も手伝えよ」
「嫌。
自分でやったものくらい自分で片づけなさいよ」
もうこれ以上巻き込まないで欲しい。
「お、お強い…」
「このくらい強気じゃないと、あの2人とはやってけないよ」
「確かに…そうだね。
でもなんか分かるかも」
「何が?」