第36章 教育
「柏木、なんか投げられるモン持ってねェか?」
「バレーボールなら」
「ちょっと貸せ」
「どうぞ」
ボールを受け取ると、そのままぶん投げた。
「あだっ」
「サンキューな」
跳ね返って来たそれを難なくキャッチすると、丁寧に返す。
「合宿、結局一緒にやるんだってな。
このバカが色々迷惑をかけると思うけど。
まァ、宜しくな」
「あ、はい」
イズミ先輩、相変わらずサバサバしてる。
「じゃあ」
国見くんがペコッとお辞儀して、イズミ先輩のあとを追いかける。
嵐が去ったあとのような静けさだけが、この場に残った。
「青城の13番の人、名前何?」
「13番?」
「静かな方」
「あぁ、国見英くん。
北川第一出身の1年生。
詳しいデータはまだないから合宿で収集するつもり」
「ふーん」
「話合いそう?」
「まぁ」