第35章 顔合わせ
「なんでしたっけ、それ」
と、少しとぼけてみる。
「あれれ、忘れちゃった?」
「覚えてるから昨日ああ言ったんですけど」
「うん、そうだよね」
「分かってるなら聞かないでください」
「釣れないねぇ」
「…おい。
油売ってねェでとっとと学校戻るぞ、クソ川!
体育館使える時間限られてんだよ、グズ川!」
「悪口を略さないで!」
「グズ及川」
「言い直さなくて良いから!」
「オラ、とっとと行くぞ」
及川先輩の首根っこを掴みながら、背を向ける。
「なぁ波瑠、大王様と何か約束したの?」
「まぁ」
「どんな?」
「教えない」
「そりゃねーべ」
「ほら、ロードワーク再開しなくて良いんですか?
練習時間減っちゃいますよ」
「あ、あぁ。そうだな」
ロードワークを再開する。
「何イライラしてるの?」
蛍がなんだかピリピリしてる。
「別に」
「私何かした?」
「別に」
首を触りながら答える。