第33章 危機
「澤村さんもお願いします」
「お、おう」
「なんだァ?月島のヤロー」
2人を連れて準備室に戻ると、波瑠さんはその場にうずくまっていた。
「柏木、大丈夫か?」
「波瑠ちゃん⁉︎」
電気を点け、駆け寄る。
「平気、です。
ちょっと腰抜けちゃって」
そりゃ血を見ればね。
「とりあえず止血ね」
救急箱を開け、テキパキと処置をする清水先輩。
さっきまで動転していたのが嘘のようだ。
「月島、何で切ったんだ?」
「さぁ、僕にもさっぱりで。
ボール出しの途中だったんですけど」
「ボール?
なぁ、この1つだけ色の違うやつ刃がついてないか?」
「刃ですか?」
「ほら、分かりづらいけどここに。
カミソリの刃みたいなのが」
「本当ですね」
注意深く見てみると、本当に刃のようなものがついていた。
「大丈夫?」
「すみません…少しだけフラフラします」
「気分は?」
「良くない…です」
「私武田先生に事情説明して来る。
多分来てると思うから」