第33章 危機
いくら日向だとしても、それはないね。
などと考えていると。
「つッ…」
波瑠さんの息を飲む声が聞こえた。
「ちょっと、大丈夫?」
白く細い指には赤い筋が出来ていて、そこから血を溢れさせている。
「…へーき」
「平気じゃないでしょ、バカなの⁉︎」
身体の体温が一気に下がるのが分かる。
なんでこんな時まで強がる訳?
今にも泣きそうに顔を歪ませているのに、平気な訳ないでしょ。
「清水先輩呼んで来るから待ってて」
「ごめん…」
背中越しに謝る波瑠さんの声を聞いた。
「遅せーぞ、月島」
「煩い、今構ってる余裕ない」
影山にいちいち取り合うのは時間のムダ。
影山を無視し、一直線に清水先輩の元へと向かう。
「清水先輩、ちょっと来て貰っても良いですか?」
「潔子さんをお呼び出しですか?月島コラ」
「そんなんじゃないです。
救急箱持って来てください」
「分かった」
月島の真剣な様子から、素直に従う清水。