第33章 危機
「…え……?」
痛みに釣られて右手を見ると、人差し指にスーッと赤い血の筋が出来ている。
「いッ…」
そしてそこから鮮血が滴り落ちる。
ボールや床を汚さないように咄嗟に左手で押さえるが、隙間から垂れてしまう為、意味をなさない。
結構深くいってるな、これ。
「ちょっと、大丈夫?」
「…へーき」
刺すような痛みと、皮膚に触れる生暖かい液体。
凄く不快だ。
「平気じゃないでしょ、バカなの⁉︎」
珍しく声を荒げる。
血が溢れ出して止まらない。
私の手を、床を赤く汚していく。
「清水先輩呼んで来るから待ってて」
「ごめん…」
痛い。
どんな強烈なスパイクをレシーブした時よりも遥かに。
何してるんだろ。
選手の、マネージャーの大事な指を。