第32章 寄り道
アイスでも買おうと目的のものを手に取ると、スッとそれは手元から消えた。
「あ…」
「買ってやるよ。
今日練習付き合ってくれた礼にな」
「あ、ありがとうございます」
「おう」
支払いを済ませ、店の前にあるベンチに腰を落ち着ける。
「ツッキーとはその後どうよ」
「別に普通です」
「眼鏡くん、そういうの鈍そうだもんな。
多分苦労するぞ」
「なんの話ですか?」
「さぁな。
それより彼女ちゃんは研磨と随分仲良さそうだな」
「仲良いというか、単に一緒に居て楽なだけです。
静かな人の方が居やすいので」
「言われてみりゃ確かにツッキーも赤葦もクールだよな」
「見られる心配とかないから…凄い楽。
煩くないし…静かに過ごせる。
トス上げてとかも…言わないし」
日向やリエーフくんに絡まれてたもんな。
ゲームをしながら器用に会話する。