第32章 寄り道
「そっちの天才1年セッターも…静かなのかと思ったらなんかブツブツ言ってた。
俺…面倒くさくて逃げたけど」
「まぁ、確かにパッと見クールそうなイメージかもね。
でも勝ちに対しては貪欲。
トスとかも基本10本単位だし、カゴにボールがなくなるまで続けるから」
それでどうして平気な顔をしていられるのか、不思議で仕方ない。
「…絶対無理…」
そりゃそうだ。
とその時、携帯が鳴った。
「俺らに気にせず出て良いぞ」
「いえ、メールなんで大丈夫です」
画面を確認すると、それを開いた。
『あのお嬢様、マネージャー断念したよ』
蛍からだった。
「良かった…」
どういう経緯でそうなったのかは分からないけど、とにかく良かった。
はぁー、と深く長い息を吐き出す。
「どうかしたのか?」
「こっちの問題が1つ解決しただけです」
本当に助かった。
「ふーん、大変そうだな」
「まぁ」